プラスチックスマイル ANOTAHR STORY



いじめっ子







錦織二十一。文武両道で顔も悪くはない(良いほう)。女子からの人気もそれなりにあり、
この言葉だけ見れば性格も悪くない人なんだなーとつい思ってしまう。



そんなわけないのに。



彼に関われば関わる程不幸になる、という話がある。それは本当だ。現に彼は知り合いには様々な
悪戯を実行する『鬼畜少年』の異名を持っている程だ。



5月中旬の放課後。彼はサッカークラブのレギュラーで毎日放課後、クラブへやってきている。
「よぉ。」
「遅いですよ先輩。」
「別に遅くないさ。」
遅くないねぇ……と
200メートル先でうっうっと嗚咽を漏らしている弱々しい野球部の男子
遠目で見つつも二十一と話す。
「明々後日は公式戦なんですよ?桜塚と。」
「ああ、あの学校ね。」
「桜塚のサッカー部は最近強いですからね。何でも転入生の相木ってのが――」
「大丈夫だ。」
「え?」
「俺、
あそこの校長泣かしたからさ。」
は、と後輩のマヌケな声が聞こえた。
「俺、
あそこの校長泣かしたからさ。」
え……と唖然とした声を出す。
「日曜日にちょーっとさ。」
「そ、それ他校との問題――」
「姉妹校だから挨拶しにきたんだよ。そしたらワンワン泣いてて。」
愉快そうな顔を見せて彼はおどけた様に話す。彼の話はこうだ。日曜日に桜塚学校に遊びに行き、
校長室へ入るなり
サッカー部の情報を全て漏らさないと理事長が縁を切る、と嘘っぱちを言ったのだ。
最初はさすがに
『何故お前が理事長を知っている。』
と質問したが二十一がそんな事はどうでもイイ、と校長から生徒のデータの入っている
FDを奪い取り逃走。そこからサッカー部の情報を入手したわけだ。つまり、
完全に他校と問題を
引き起こしたのである。

「それってヤバイじゃないですか!」
「そうだな。」
「そうだなじゃありません!理事長が知ったらどうなるか――」
「知ってるよ。」
「じゃあ!?」
「あの馬鹿親父、
君は面白いことをするから成績をUPしてあげようってね。」
それっていいのかよおい!絶対評価はどーなってんの!?
それ以前に理事長脳みそプリンに
なってないのか!?
などと後輩一同は心の中で突っ込んだ。
「なんてね、嘘だよ。」
「そ、そうですよね!」
「嘘に決まっんだろ?そんな事で成績UPしてるなら俺何でもやるよ。」
練習するぞ、と言ったと時、ある1年生が彼の元へとやってきた。
「あ……の先輩。ボク転んで膝擦りむいたので保健室へ行ってきます。」
「駄目だ。」
「え?」
「そんな傷如きで保健室へ行くなんてお前はサッカークラブの準レギュラーであることに
誇りを持っているのか!ただでさえサッカークラブは部員が多く日々汗水垂れ流して
レギュラーという高みへ行こうと努力している同胞どもを差し置いてだ。いくら準レギュラーに
なったからって保健室でサボるとはイイ度胸だな!」

「ち……違います!」

「何が違うかこのサッカー選手のゴミが。いや違うな。お前はサッカー云々の問題ではなく人間の屑だ!
お前は必死になっても準レギュラーどころか補欠の補欠になりさえしないクラブメンバーを嘲笑い保健室へ
行き、サボる。はん!見上げた度胸をしやがるなこの人間以下め。サッカー選手の風上にもおけぬ
愚か者め!」

「そんなわけありません!」
必死に弁解する後輩。
「何がそんなわけじゃありますぇんだ
この偽善者が!
「ひぃ!」
「俺は他の面子としがって甘ちゃんじゃないんでね。傷口にばい菌が入ったところで俺は死にもせん
し困りもしないよ。助けて助けてと哀願しても遠目で面白く傍観させていただくよ。偽善者は偽善者らしく、
はいボクはコレくらいの傷はどってことないんで汗を傷口に染み付けてボールを蹴ります、位言えんのか!」

「い……言えま……。」

「言えま?その後に続くのは『す』か?それとも……。」

ボキボキと彼は指を鳴らす。

「言えます言えます言えます言えますー!!」

最早自棄になったのか大声を張り上げて後輩は言う。
「そうだ。
俺の引き立て役なら引き立て役らしくすればいいんだよ。
「は……はいぃ。」
「じゃ練習の続きするぞ。」
さっきの修羅のような顔とは一変、いつものいまいち何を考えているか読み取れない顔を見せるとまたボールを
蹴りはじめた。丸で何事もなかったかのように。



錦織二十一。生まれつきの苛めっ子と書いて鬼畜と読む。それは天性の性格なのだ。



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